クリエイティブスタジオ・ビジネス開発機能を持ってアーティストサポートを行っている株式会社Embedded Blueの代表である片岡様に、「今まで使っていた書類の形式をそのままシステムに組み込める」ArtXCloudについて、導入の決め手や効果をお伺いしました!ArtXCloudを活用してアーティストの活躍を支援したい-最初に、Embedded Blueについて教えてください。私たちは、業態としては珍しく、クリエイティブスタジオ・ビジネス開発機能を持ってアーティストサポートを行っている企業です。また、私たちは「事業体の体を成すアーティスト」を標榜しており、自分たちの作品として事業開発や企画を行っています。具体的には企画制作・作品販売・資金調達支援などの事業を展開しています。アーティストサポートでは当人が制作に専念できるよう、代替可能な業務全てを代行、効率化しています。アーティストの負担を減らし、制作時間の捻出をサポートしています。従来のギャラリーとは異なり、アーティストとの専属契約や制約などは設けてません。伸び伸びとアーティストが活躍できる状態が私達のファーストプライオリティです。手段・目的・ビジョンなどいろいろな面で業界に新しい切り込み方をしていると言われることが多いです。- 在庫管理アプリArtXCloud導入した背景を教えていただけますか?私自身をはじめとするメンバーが金融やITを経験していることから、アート業界には効率化できる仕事や構造的に変革できるところがたくさんあると思っています。現状では、アーティストやギャラリーがそれぞれのやり方でバックオフィスの業務を行っていて、大なり小なり無理や無駄が生じています。そこで、アート業界に特化したインフラを作って、皆で最適な方法を共有できれば、クリエイティブな仕事に使える時間が増えて、アートマーケット全体がもっと良いものになっていくはずだと考えました。自社で開発を検討していたところ、ArtXCloudというサービスがあることを知って、使ってみたら想像以上に完成度が高く、これだ!と思いました。効率化・管理コスト削減によって「本当にやるべきこと」をやる時間を創出する-ArtXCloudは業務にどう役立っていますか?私たちはアーティストマネジメントにおける仕事を「守り」と「攻め」で分けて考えています。「守り」は、作品や顧客データ、契約の履歴を記録して分析するなど地味ですが着実に積み上げていく必要がある業務です。効率的な管理体制や網羅性、正確性が求められます。「攻め」は、アーティストのプロモーションや、企画など、アーティストと作品の価値を向上させ、多くの人に届けていく業務です。購入者や鑑賞者といったお客様がいる仕事であり、最も効果的に成果を出していくためには、「守り」の業務を細やかに積み重ねた上で、「攻め」の業務に取り組んでいく必要があります。ArtXCloudは「守り」の仕事のクオリティと速度を上げてくれて、「攻め」に割く時間を増やすことができるプロダクトだと思っています。-「守り」の業務ではどう活用されていますか?「守り」の業務では、コスト(時間と労力)を削減しつつ、より丁寧な仕事ができています。アーティスト、作品、顧客、展示会などのデータを、それぞれの関連づけも含めて抜け漏れなく正確に記録していくことが可能です。目的のデータへのアクセスも、複数のファイルを辿ることなく簡単にできるため、業務にかかる時間を短くできます。(追記:データのフィルタリング機能を用いて、マーケティングのための分析に使うことができます。)展示会の初期費用が100万円削減-「攻め」の業務ではどう活用されていますか?「守り」が簡単にできるようになったので、今まで後回しになりがちだった、「緊急性はないが重要な仕事」ができるようになりました。とくに、新しい企画にリソースを割くことができるようになりました。最近では、ArtXとコラボレーションして、展示鑑賞機会を招待制で提供する「selections」というイベントを開催しました。イベントでは、展示会場で作品を購入するためのプラットフォームとして、ArtXオンラインストアの機能を使いました。こういったシステムは外部発注すると100万ほどかかってしますし、運用・カスタマイズにもコストがかかるのでArtXCloud一つでできるのはコストが安いですね。「selections」の様子(追記:ArtX オンラインストアには、イベントの告知機能や決済機能があります。)作品リストの作成時間が3時間から5分に-ArtXCloudを導入して特に効果を感じたところは?日常業務で、「頭を使わないけど時間がかかる」作業をArtXCloudで効率よくこなせるようになりました。とくに、作品リストの作成機能が便利で、平均3時間かかっていた作業が5分〜30分でできるようになりました。今までは、作品リストをIllustratorなどデザインソフトを使用して作成していたのですが、写真をレイアウトして、説明文を入力して・・・と作業していると、1回で6時間かかることがあり、作品リスト作成専用のモジュールを作ろうかと思っていたほどです。デザインツールはメンバー全員が使用できるわけではないので、まず使い方を覚えるという工程も必要になります。ArtXCloudでは、その作業がたった30分足らずでできるので、とても助かっています。作品の選択、表示事項の選択、出力ボタン、これだけです。専門的な操作も不要なので誰でもすぐに使いこなすことができました。また、最初にデータの移行をしていただいたのも良かったです。カスタマイズと開発の速さが気に入っている-ArtXCloudで気に入っているところは?開発が早いところです。要望が反映される速度がとても早い!作品リストをEmbedded Blue仕様のフォーマットにカスタマイズしていただけたことも、使い勝手の良さにつながっています。-ArtXCloudの 使用期間や頻度と、利用している人数は?2022年7月から導入しました。展示会の前後は、ほぼ毎日使っています。アート業界全体の効率化に期待してる- 今後ArtXに期待することは何でしょうか?ギャラリーの効率化だけにとどまらず、アートマーケット全体がよくなる活動を、一緒に頑張っていきたいです。我々は勝手にパートナーだと思っています。(笑)たとえば、アーティストにも使いやすいようにして、アーティストとギャラリーの間のやりとりをスムーズにするなど、鑑賞者からのアクセスも含めてまだまだ未着手の部分もあると思っているので本当にインフラ的に既存の非効率や負担がある部分をリプレイスしていって欲しいです。顧客様との売買契約やアーティストとの取り組みに関する契約などもシステム内で完結できるようになるといいですね。契約などはアーティスト保護の観点で非常に重要な部分なので弊社でも力を入れているところです。ArtXCloudでそれができるといいですね。DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉は慎重に使うべきもので、なんでもデジタル化、システム化すればいいというものではありません。商取引や業務に関与する人それぞれにとって「体験」として利便性とベネフィットをもたらすものを構築するためにITを活用することが重要です。なのでしっかりとユーザーの声を聞き、サービスに反映していくというシンプルですが実行には時間と手間がかかる道のりです。その観点では、ArtXさんはユーザーの声に耳を傾け、それをサービスに反映、実装する体制とポリシーを強く感じます。私が過去、アプリケーション開発のプロダクトマネージャーを経験してきたこともあり、一つのSaaSのプロダクトとしてのグロースも楽しみにしています。アート業界にはデファクトスタンダードがないので、最適解を探しながらマーケット全体に良い影響を与えていくという道のりになるはずです。そう言う意味でとても伸び代があるサービスだと思います。-どんな人に勧めたいですか?全員導入した方がいいですよ!(笑)業務効率化なんて意味がないと思っている人、ITに明るくないから関係ないと思っている人には、特に使ってみてほしいです。この手のサービスは利用者が増えれば増えるほど、機能の改修や、データの取扱、相互の接続などについてメリットが出てくるものです。サービスを導入することはアート業界を前進させるという前向きなアプローチに対して賛同するという意思表示でもあると思うんですよね。効率化、削減というアプローチは直接的に売上げが伸びるものではないので効果が実感しにくいものですが、作業時間や管理のクオリティという面で、使ってみると「楽になったな」という体感があります。ボディブローのようなもので小さな積み重ねが大きな効果を発揮するという類のものだと思います。その先に売上高や業績への寄与はきちんと実感できるものだと思いますし、これでもかとユーザーへの配慮やデザイン・操作性はレベルの高いサービスだと思います。